こどもの肥満と2型糖尿病

こどもと生活習慣病
こどもと生活習慣病
こどもと生活習慣病

放送風景
1回目はスタジオからの生放送でした。
ぶっつけ本番で生放送というのは結構緊張します。
以下は放送原稿から再構成したものです。

最近の若い人のスタイルですが、足の長い人が多くなったような気がしますが、発育発達の面からみるとこれはどうなんでしょう?

足の長い方が多くなったといえるのではないかと思います。学校保健・統計をみますと、身長は戦後ずっと伸び続けてきて、ここ10年余りは概ね横這いになってきていますが、身長が伸びた割には、座高のほうは伸びていない。差し引きすると、確かに足が長くなってきています。これは、おそらく食習慣、あるいは生活スタイルなどが関係していると考えられます。

背は高くなって足が長くなりましたが、体力面はどうでしょう?

体力面では、ここ十数年、毎年、確実に体力の低下がみられています。例えば、立ち幅跳びなどは身長が高いと有利になるはずですが低下しています。背筋力も落ちてきています。これは、テレビゲームとか受験勉強といったことで運動の習慣のない若い人が多くなっていることが関係していると思われます。

運動不足から肥っている人も多くなっているように思いますが?

肥満の子どもも確実に増えています。さきほど、スタイルがよくなっていると言いましたが、肥っていないのは10代の女性だけで、そのほかの年代では年々、体重が増えつづけています。10代の女性だけがダイエットブームで例外的に肥っていないといえます。今、小学校の高学年で肥満のある子どもが10%を超えています。その数はこの30年で3倍に増えたと言われています。そういう意味では、生活習慣病というのは、大人だけの問題ではなくなってきています。

肥りやすさには個人差があるのでは?

体質が関係しています。最近では、肥満を起こす遺伝子がいくつも見つかってきており、そういう遺伝子をもっていると肥りやすくて痩せにくくなります。従って、家族に肥満や糖尿病のある方がおられる場合には、子どもの時から、よい食習慣と運動の習慣を身につけおくことが大切です。

中高年のあいだでは成人病が増えて問題になってますが、子どもに成人病はない?

成人病といわれるぐらいですから、本来、子どもはならないはずですが、最近の調査で、成人型の糖尿病を発症している子どもが意外に多いことが判っています。1992年に学校検尿の項目に尿糖検査が加えられて、それ以来、こどもの時には発症しないと思われていた2型糖尿病がかなりあることが判ってきたのです。しかも年々増えてきていることが判っています。もともと糖尿病というのはあまり自覚症状のない病気ですので、検査して初めて明らかになったといえます。これまで、子どもがかかるのは1型糖尿病で2型糖尿病はないと言われてきましたが、その常識が通用しなくなっています。

1型糖尿病と2型糖尿病の違いは?

1型糖尿病はインスリンを出す細胞が破壊されるタイプで生活習慣とは全く関係なく発症します。こちらは自己免疫病の一つで、いったん発症するとインスリンが出なくなり、多飲、多尿、体重減少といった症状が出てきます。一方、2型糖尿病のほうは生活習慣病と言われるように、肥満や運動不足でインスリンが相対的に足らない状態に陥って発症しますので、自覚症状が無かったり、あっても軽度であることが多いのです。

検査で尿糖がでてると言われたら、どうすればいい?

尿糖が出ていると言われたら、たとえ症状がなくても必ず医療機関を受診して頂きたいと思います。学校検尿で見つかってくる方の中には腎性糖尿といって、血糖値が高くないのに尿糖だけが出ている方も含まれていますので、。きちんと診断してもらうことが大切です。