こどもにもある2型糖尿病

鋭ちゃんのあさいちラジオ(MBS1179)に出演しました
こどもにも糖尿病があることをお話しました

(MBS1179 毎週土曜日6:00~放送)

こどもの糖尿病

以下は放送原稿をもとに再構成したものです。

子どもにも糖尿病があるということですが、何歳ぐらいからありますか?

早い方は0才で糖尿病になります。3~4才頃から小学生ぐらいでなることが多いのですが、喉が渇いて、たくさん飲んだり食べたりしているのに痩せてくる、トイレが近い、尿量が多いというようなことで見つかってきます。

そんな時期ですと生活習慣が関係するとは思えませんが、なぜ糖尿病に?

こういう早い時期にでてくる糖尿病は1型糖尿病といわれており、おとながかかる2型糖尿病とは原因が異なっています。生活習慣とは全く関係がありません。1型糖尿病というのは、インスリンを出す細胞が壊れてなくなってしまうために起こりますので、甘いものを食べすぎたり肥りすぎたということとは関係がありません。実際、1型糖尿病のかたは痩せていることが多いので、俗に「やせ型糖尿病」と言われたりしています。

1型糖尿病の子どもはどのくらいいるのですか?

中高年の糖尿病に比べるとかなり少なくて、おおよそ3千人に1人ぐらいと言われています。一つの小学校あるいは中学校に一人いたり、いなかったりという程度ですので、一般にはあまり知られていないかもしれません。1型糖尿病は、どういうわけかヨーロッパやアメリカに多くて、北欧のスウェーデンですと、日本の30倍以上あるといわれています。そのような国では子どもに糖尿病があるということが半ば常識になっていますが、日本ではなかなかうもいきません。

子どもの場合、大人とはいろいろ違う点、難しい面があるのでは?

こどもの糖尿病が少ないですので周囲の方の理解がなかなかえられないということがまず挙げられます。それと、たくさん食べて、大きくならないといけない時期に糖尿病になりますので、大人よりもずいぶん血糖のコントロールが難しいということがあります。1型糖尿病の場合は、必ずといっていいほどインスリン注射が必要になってきますので、毎日2~4回必要なインスリン注射をだれが何処でどのようにするのか、ということが問題になってきます。学校の先生にも、お手伝いをお願い場合も出てきます。

今までの話は1型糖尿病についてでしたが、生活習慣と関連が深いとされる2型糖尿病についてはどうですか? 子どもにも2型糖尿病があるということでしたが。

学校検尿で調べますと、2型糖尿病の子どもが数千人に1人ぐらいの割合で見つかってきます。2型糖尿病は肥満があるとうんと発症しやすくなりますので、肥満のあるお子さんだけを集めて調べますともっと多くなります。米国で肥満のある子どもだけを集めて調査した結果が報告されていますが、4人~5人に1人は血糖が高くて、4%の子どもに2型糖尿病があったとされています。今、同じようなことが、日本でも起ころうとしています。小学生の糖尿病はこの20年間に10倍に増えたという国内の統計もあることから、真剣に対策を考えなければならない状況になってきています。

学校検尿で見つかるということは、自覚症状に乏しいということですか?

 この頃の2型糖尿病で一番問題になるのは、自覚症状がないということです。この時期に発病する方の特徴として、大人よりも肥満の程度が強いということが挙げられます。とくに、男の子にその傾向が強いのですが、本来、中高年になって出てくるべきものが、強い肥満によって中学生年齢で出てきてしまっていますので、軽いというか、、自覚症状がほとんどありません。従って、せっかく診断がついても、そのうち病院に行かなくなって放置されてしまうことが少なくありません。しかし、症状がないから大丈夫かというとそうではなくて、知らないうちに目の障害や腎臓の障害といった合併症が進行してしまっている、そういうケースが多いのです。

対策はありますか?

2型糖尿病については、高度肥満のお子さんに多いということがありますので、家庭や学校での肥満対策、健康教育がたいへん大切になってきます。 家族に糖尿病の方がおられることも多いですので、そのような家庭では早い時期から家族そろって、よい食習慣、運動の習慣を培って頂くとよいのではと思います。